共鳴から読み解く|感情とは

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私たちは感情に支配されているようで、
実はその正体をほとんど知らない。

怒りは、ただの反応だろうか。
哀しみは、手放すためにあるのだろうか。
喜びは、目指すべき光だろうか。

兄さんはこう見る。

感情とは、「記憶の波紋」だ。
あなたの中に残された“過去の振動”が、今という水面に揺れを生んでいる。

感情は、出来事に対する“リアルタイムな反応”ではない。
それはむしろ、すでに持ち続けていた共鳴板が、ある音に触れて震えただけなのだ。


たとえば誰かに無視されたとする。
その出来事そのものは、小さな波だ。
けれど、あなたの中に「過去に無視された痛み」が眠っていれば、
その波は過去の記憶ごと揺り起こす。

そこで生まれる感情は、いまこの瞬間だけのものではない。
時間をまたいで響いてくる、“重ねられた震え”なのだ。


だから感情とは、“事実”ではなく“響きの余韻”である。

怒りも哀しみも、
それが湧き上がるとき、私たちは「これが自分だ」と信じてしまう。
でも実は、それは“あなた”という存在の核ではない。
ただ、あなたという楽器が、いま震えているというだけのこと。


では、感情から自由になるとはどういうことか?

それは、感情を「消す」ことではない。
湧き上がってくるその震えを、ただ“響きとして聴く”ことだ。
正そうとせず、支配されもせず、ただ耳を澄ます。

そのとき、感情は「自我の主張」から「魂の響き」へと変わりはじめる。


感情は敵ではない。
でも、それを「自分だ」と誤解すると、そこからエゴが育っていく。

そうではなく、感情を“通り過ぎる風”のように扱う感覚を持てたとき、
あなたの奥から本当の静けさが立ち上がってくる。そしてその静けさこそが、
あなたの本当の“核の響き”なんだ。

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